親が亡くなり実家を相続することになった。でも、
・相続登記って自分でもできる?
・どんな手続きや書類が必要?
この記事では、自分でできる相続登記の条件と、自分で行う場合の手順や書類について解説します。
1.相続登記は自分でできる?
相続登記は自分でもできます。ただし専門家に任せたほうがよいケースもありますので、自分でできる条件について説明しましょう。
1-1相続登記って何?
そもそも相続登記とは何かご存じでしょうか。 相続登記の正式名称は「相続による所有権登記」。土地や建物の所有者が死亡したときに、土地や建物の名義を死亡した人から相続人へ変更することです。
1-2相続登記しないとどうなる?
2021年の国会で相続登記の義務化が決まり、2024年4月1日以降に施行されることになりました。
これまでは手続きをしなくても罰則はありませんでしたが、これからは相続が発生した日から3年以内に相続登記しないと10万円以下の罰金が発生します。詳細は法務省の「相続登記の申請義務化特設ページ」に記載されています。
1-3相続登記は自分でできるの?
相続登記は難しいイメージがありますが、下記の条件にあうなら自分でも手続きが可能です。
①相続人が配偶者と子どもだけである
②平日の日中に自由に動ける時間がある
③根気強い性格である
相続人が配偶者と子どもだけなら、必要書類がある程度限られるので、難易度が下がります。書類は市町村役場や法務局で取り付けするので、役所が開いている平日の日中に動けるほうがよいでしょう。
相続登記は法務局に申請しますが、不備があると何度も法務局に行かなくてはいけないので、根気強い人のほうが向いているでしょう。
1-4専門家に任せたほうがよいケースは?
記のように難易度が高い場合は、専門家に任せたほうがよいでしょう。
①兄弟間の相続や代襲相続の場合
②換価分割など複雑な遺産分割のとき
③ご先祖名義のままになっていた
④登記を急ぐ
⑤相続した不動産が遠方にある
代襲相続とは、被相続人が亡くなったときに本来の相続人が亡くなっており、その子どもが相続することです。また換価分割とは、遺産を売却して金銭にし、金銭を分配することです。
①②③は、必要な戸籍が複雑で量も多く、高度な専門的知識が必要になります。実家を売却することになっても、相続登記が完了していないと売却することはできません。また遠方に何度も足を運ぶことも大変です。
④⑤のケースで早く確実に相続登記するためには、専門家の手を借りたほうがよいでしょう。
1-5自分でやる場合のメリットとデメリットは?
自分でやる一番のメリットはお金があまりかからないことです。
自分でやれば書類取り付けの手数料と登録免許税だけですが、専門家に依頼すると数万~数十万の報酬が必要になります。
逆にデメリットは手間がかかることです。
必要書類は平日の日中に役所へ取りに行かなくてはいけませんし、書類の不備で法務局から何度か連絡がくる可能性もあります。
2.自分でやる相続登記の流れ・必要書類
この項では自分で相続登記する場合の手続きの流れと必要になる書類について解説します。
2-1相続財産を特定しよう!
はじめに、固定資産税納税通知書に添付されている固定資産税課税明細書で被相続人が持っていた不動産を特定します。
固定資産税納税通知書は、毎年4~5月頃に市町村役場から登録された住所に届きます。
もし課税明細書が見つからない場合は、市町村役場で名寄帳(個人が所有する不動産の明細一覧)を請求しましょう。
2-2登記簿謄本を取得しよう!
次は、最寄りの法務局で登記簿謄本を取得しましょう。
交付申請書は法務局の窓口にあります。1通分600円の収入印紙が必要ですが、法務局内に印紙売り場があるので事前に用意しなくても大丈夫です。
窓口以外に、郵送やインターネットで請求することもできます。
取得できたら、被相続人(亡くなった人)が登記名義人で間違いないか、地番、家屋番号、地目が間違いないかを確認しましょう。
2-3被相続人(亡くなった人)の戸籍を集めよう!
①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍は、土地や建物の所有者が亡くなり相続が開始したことを確認し、相続人が誰かを特定するために必要です。
②被相続人の住民票の除票
被相続人の住民票の除票で、被相続人の住民票の住所と登記記録上の住所をチェックして、同一人物であることを確認します。
2-4 相続人(相続する人)の書類を集めよう!
①相続人全員の現在戸籍
相続人の現在戸籍は、被相続人が亡くなった時点で相続人が生きていたことを証明します。
②不動産の所有者になる相続人の住民票
相続人の住民票は、新しい登録名義人となる相続人の住所を証明します。
2-5必要な場合は遺産分割協議書を作成しよう!
相続人が配偶者と子どもの場合、登記には「法定相続どおりに相続する」「遺言で指定された相続人の名義とする」「遺産分割協議によって一人の名義にする」などの場合があります。
遺産分割協議をした場合は、遺産分割協議書を作成し、相続人全員に実印での押印と署名をしてもらいましょう。印鑑証明も相続人全員の分を取り付けします。
2-6管轄法務局を調べよう!
法務局のホームページで、不動産の所在地を管轄する法務局を調べましょう。
登記簿謄本の取得は最寄りの法務局でできますが、登記の申請は管轄の法務局で行います。不動産が各地にあり、複数の法務局で申請するときも、書類は1通でOKです。
2-7登録免許税を計算しよう!
相続登記には、登録免許税の納付が必要です。
登録免許税を計算するために、まず固定資産税課税明細書で固定資産税評価額を確認します。固定資産税課税明細書がない場合は、市町村役場で固定資産評価証明書を取付ししましょう。
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%(1000分の4)です。
課税価格は1000円未満を切り捨て、登録免許税は100円未満を切り捨てます。
【例】
固定資産評価額の合計 15,598,794円
1,000円未満を切り捨て 15,598,000円
15,598,000円×0.4%=62,395円
登録免許税は100円未満を切り捨て 62,300円 登録免許税=62,300円
計算の詳細は法務局のホームページでも確認できます。
登録免許税は、現金ではなく申請書に収入印紙を添付して納付します。
2-8登記申請書を作ろう!
必要書類がそろい、登録免許税の計算ができたら、登記申請書を作成しましょう。
法務局のホームページから登記申請書をダウンロードして、登記申請書を作成します。
2-9原本還付の用意をしよう!
他の相続手続きなどがあり、戸籍などの原本が必要な場合は原本還付の用意もしましょう。
原本還付してほしい書類のコピーを取り、そこに「原本を正写しました」と記載します。申請書に押印した人がコピーに記名押印して申請書に添付して原本と一緒に提出すると、登録完了後に原本が戻ってきます。
2-10法務局へ申請しよう!
書類がそろったら、いよいよ管轄の法務局へ申請です。
申請方法は窓口へ直接行くか、郵送の二通りです。郵送の場合は、書留か赤色レターパックにしましょう。
まとめ
相続登記は、「必要な書類を集め、申請書を作成し、法務局に申請すること」です。
自分でできる条件にあてはまっていたらチャレンジしてみてください。しかし期限がありますので、相続関係が複雑な場合や、時間や労力をかけられない場合は専門家に相談しましょう。
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